Dauer 962GT (1994)
1994 Le Mans


ダウアーは 1991年にポルシェから 962のシャーシ5台分を購入し、自社においてロード・ゴーイング版 962を製作しました。1993年のフランクフルト・ショーにてデビューを飾ったダウアー 962LMは、公道を走れる 962として注目を集めました。翌 1994年、GT1クラスのホモロゲーション取得に必要な1台の市販車両とともに、2台の競技用車両を完成させたダウアーは、ポルシェの支援を受けルマンに参戦し、FATがスポンサーとなる#36が Yannick Dalmas、Huiey Haywood、Mauro Baldi らのドライプで総合優勝、SHELLスポンサーの#35も3位を記録しています。

ポルシェ・エントリーの 962がルマンで最後に優勝した 1987年以降は、ジャガーやメルセデスがルマンを席巻しており、ポルシェとして 1994年のルマンに出場する車両も市販車ベースの 964ターボ S以外になかったことから、ポルシェはダウアーのルマン参戦を積極的に支援しました。最低1台の公道走行可能な車両を作成すれば良いとする、GT1クラスへのホモロゲーション規定の抜け穴をうまく利用し、グループCカーである 962に公道走行用の保安部品を取り付けて GT1クラスにホモロゲートし、結果的に優勝したことで、ポルシェはライバル・メーカーから激しい批判を受けました。その後は各メーカーも実質的なプロトタイプ・マシンで GT1クラスに参戦し、GT1の規定自体が見直されることとなりました。


この作品は LeMans Miniature (ルマン・ミニチュア)の 1/24レジンキットを組んだものです。同社からはエンジンも付いた上級キットも発売されていますが、ここで使用したキットはエンジンの省略された廉価版で部品数は少なく、組み立ても簡単です。またキットは3位になった#35の車両でしたが、市販のデカールを使用し、優勝した#36の車両に仕上げてみました。デカールはスロット・カー用に市販されているもので、容易に入手できる反面、本来キットに付属しているデカールと比較すると、印刷の細かさや発色が、かなり劣ります。面倒でもキット付属のデカールをメーカーから取り寄せたほうが良かったようです。1994年のルマンは必勝体制でレースに臨んだトヨタが最後の1時間でギアのトラブルからまさかの2位となり、日本車初の総合優勝を逃すなど、ルマンらしい見ごたえのあるレースとして記憶に残っています